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子ども手当の所得制限

 子ども手当の所得制限

平成21.11.18寄稿

「子ども手当」所得制限に改めて否定的…首相

 鳩山首相は18日夜、「子ども手当」に所得制限を設けるべきだとの意見が政府内に出ていることについて、「所得制限は設けないのが基本理念だという発想で、これから議論したい」と述べ、否定的な考えを示した。

 首相官邸で記者団の質問に答えた。

 これに先立ち、藤井財務相が同日夕の記者会見で所得制限を「論点になりうる」と述べ、子ども手当の制度設計の中で検討する考えを示した。首相は世論の反発が予想されることから、財務相の発言の軌道修正を図ったものと見られる。

 首相は「子ども手当は子ども一人一人に手当てすることで、裕福だとか裕福ではないという発想ではない」と述べ、世帯の所得に応じた支給制限はなじまないとの考えを改めて示した。

 一方で、「国民の中には『裕福な人には子ども手当はいらない』という気持ちの方がかなり多いことも現実にある」とも指摘し、議論の対象とすることには理解を示した。

(2009年11月18日20時46分 読売新聞)


 「子ども手当」に所得制限を設けることの疑問

 首相は、「国民の中には『裕福な人には子ども手当はいらない』という気持ちの方がかなり多いことも現実にある。」と指摘しながらも、「子ども手当は子ども一人一人に手当てすることで、裕福だとか裕福ではないという発想ではない」とも述べている。

 「裕福な人には子ども手当はいらない」という所得制限の発想は、ある意味もっともな主張だと思う。

 しかし、所得制限の発想を現実に適用しようとすると、技術的には相当に難しく、現実的な発想ではないように思う。

 その理由は以下に述べるとおりであるが、子ども手当を実施するのなら、ややこしいことは言わずに、子どもの数に応じて配ればいいと思う。

 コスト面でも、所得制限をせずに配るのが一番安いのではなかろうか。


 残念だが、所得を完全に補足するのは難しい

 所得制限を設けるには、所得の完全な(またはそれに近い)補足が前提になる。

 しかし

 所得があるのに申告をしていなかったり(無申告)、所得を実際より少なく申告するケースも少なからずあるのが現実だ。

 平成20年7月から平成21年6月までの間の調査等の実績は、次のとおりで、所得金額で9,155億円の漏れが見つかっている。

<所得税調査の状況(平成20年度)>
調査等の合計件数・・・・・・73万3千件
申告漏れ等の件数・・・・・・48万6千件
申告漏れ所得金額・・・・・・9,155億円
追徴税額・・・・・・・・・・1,216億円
  •  申告分離課税制度のように制度上申告が不要なものもある。

申告分離課税制度
 配当所得は原則として総合課税の対象とされていますが、平成21年1月1日から平成23年12月31日までの間に支払を受けるべき上場株式等の配当等(一定の大口株主等が受けるものを除きます。)については、7%(他に地方税3%)の税率による申告分離課税を選択できます。

【タックスアンサー>上場株式等の配当所得に係る申告分離課税制度から】

 

 多額の財産を保有している人もいる

  •  所得の多寡が財産保有の多寡とイコールではない。所得がなくても多くの不動産や預貯金を保有していることもある。
  •  「裕福な人には子ども手当はいらない」ということなら、財産のある人はにも子ども手当は支給しないということになるだろう。しかし、この情報はどこが持っているのか。
    •  税務署には、体系的な情報はない。
    •  市区町村は、固定資産税を所掌しているので、不動産だけなら情報を持っている。
    •  預貯金の情報は銀行、証券の情報は証券会社だ。
    •  宝石や書画骨董は・・・・
    •  外国にある財産は・・・・
これらの財産を名寄せして集計することなどできるはずがない。
そんなことが簡単にできるのなら、税務署が苦労しない。


 個人情報保護法と守秘義務

 裕福な人(お金持ち)を捜すには様々な所に分散している情報を集め、名寄せしなければならない。

 社会保険庁の年金記録の問題でもわかるように名寄せ作業は簡単なことではない。

 もう一つ、大事な側面がある。守秘義務個人情報保護の問題である。

 個人情報保護法では、個人情報を利用目的以外に利用することを原則禁止しており、第三者提供についても次のように規定している。

第三者提供の制限
個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。

  •  法令に基づく場合
  •  人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
  •  公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
  •  国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき
  •  少なくとも、法律の根拠がなければ個人情報保護法の免責事項にあたらない。
  •  更に、守秘義務の壁もある。公務員は職務上知り得た秘密を漏らすことはできない。
  •  このように、個人情報の保護守秘義務をクリアするのは相当に難しい。

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