広島県廿日市市の税理士です。税務調査、法人税、消費税、相続税、相続対策・事業承継、節税対策、保険の活用

税務調査の目的と調査対象の選定

 税務調査の目的と調査対象の選定


 調査の目的


 脱税と法令違反が調査の対象

 税金は、法令によってその計算の方法が決められていますが、脱税とルールの適用誤りがあるのも現実です。

  •  脱税
     不正の方法で税金を免れようとする行為を「脱税」と呼びます。これが許されて良い行為ではないことは誰でもわかります。
     しかし、納税者の一部には脱税に手を染める不心得者もいます。
  •  法令違反
     脱税とまでは言えないけれど、法令の適用に誤りがある場合もあります。つまりルールの適用誤りです。

  脱税と法令違反(ルールの適用誤り)を放置することは、適正な申告をしている人とのバランスが悪く、結果として公平を欠くことになります。

調査の目的は、課税の公平を維持することにあります。「脱税とルール違反は許さん!」ということです。


 接触によるけん制効果を狙って

 税務署が調査に来ればもちろんですが、電話での問い合わせがあっただけでも嫌なものです。
 実は、税務署はこれを狙って、ある程度の割合で納税者に接触するように努めています。

  •  半日や1日程度の簡易な調査
  •  書面による照会
  •  税務署での面接
     などです。

 多くの納税者に接触することは、けん制効果の面でも意味があることなのです。

 調査先はどうやって選ばれるのか

 調査先を選ぶことを「選定」といいます。
 調査は、①脱税の発見と②ルールの適用誤りを是正することですから、それに該当する会社や業者を選定すれば良いのですが、これが難題です。

 税務署は、過去の税歴・資料・申告書の内容など様々な観点から調査先を選定しています。

 過去の税務履歴(税歴)による選定

 税務署は税歴(税務履歴)よって調査先を決めています
 &color(,yellow){税に対する意識が低ければ脱税などの可能性が高まると考えているからで、「不正常習法人」などと呼んでいます。

 過去に不正行為による税金のごまかしをしているところは、優先的に調査の対象になります。
 過去の履歴がいかに大切かということです。


 資料による選定

 税務署は、日頃から大量の資料を集めています。その膨大な資料を分析して、問題がありそうな会社や業者を抽出します。
 資料には様々なものがあります。その一部を紹介します。

  •  取引資料(外注費、売上、不動産の賃借料、高額物品の購入など)
  •  資金に関する資料(金融機関、証券会社などに関する資料、取引における決済方法の資料など)
  •  うわさやタレこみ情報
     タレこみというのは、脱税情報です。中には、やっかみや中傷の類もありますが、信憑性の高いものもあります。(この種の資料は、皆さんの想像よりも多いと思います。)
  •  税務職員が日常生活の中で「見たり聞いたり」した資料

 同時調査という視点での選定

 関連の会社や同族関係者(オーナーなど)などを同時に調査しようというものです。

  •  数社の同族会社がある場合は、同時に調査
  •  会社と個人(オーナー)の両方を調査
  •  相続があった際には、相続税と関係会社を同時調査
  •  取引系列の法人・個人を一斉に調査

 同時に調査することによって、全体像が分かり易くなることと、調査の効率が同時に得られますので、最近はこの手法が多くとられています。

 申告書を分析して

 申告書やその添付書類を分析して、調査の対象になることがあります。異常数値があった場合には、調査の確立が高くなるでしょう。

 消費税の観点から、不正還付は許さない

 消費税は、税金を支払うか還付を受けるかのいずれかの申告になるという性質を持っています。
 それに目をつけたのが、「不正還付」(税金を不正に還付してもらう申告をすること)です。

 税務署もそれに対応して、一定額以上の還付申告が提出された場合には、還付を一時停止します。
 還付の金額が正しいことを、調査などによって確認した後でなければ還付しないという体制をとっています。

 その他の選定

 そのた、無申告法人、公益法人、国際取引を行っている法人などの観点からも調査の選定が行われています。


 国税庁の考え方(国税庁HPより抜粋)


<適正・公平な税務行政の推進>
 国税庁は、適正かつ公平な課税を実現するため、限られた人員等をバランスよく配分し、大口・悪質な納税者に対しては組織力を最大限に活かした的確な調査を行う一方で、簡単な誤りの是正などは簡易な接触を組み合わせて行うなど、メリハリのある事務運営を心掛けています。

 特に不正に税金の負担を逃れようとする納税者に対しては、様々な角度から厳正な調査を実施することとしています。

 具体的には、・・(略)・・・データベースに蓄積された所得税や法人税の申告内容や各種資料情報などを基に、業種・業態・事業規模といった観点から分析して、調査対象を選定しています。

 このように、資料情報は、適正・公平な課税を実現する上で重要であることから、調査において活用効果の高い資料情報を効率的に収集するための体制を整備しています。

<税務調査>

 税務調査は、納税者の申告内容を帳簿などで確認し、申告内容に誤りがあれば是正を求めるものです。特に悪質な納税者に対する税務調査には日数を十分かけるなど重点的に取り組んでいます。

(1) 調査において重点的に取り組んでいる事項

イ 資産運用の多様化・国際化に対する取組

 高額な所得が見込まれるが申告額が少なかったり、そもそも申告を行っていない者などについては、資産運用の多様化・国際化も念頭に置いた上で調査等に取り組んでいます。

 特に高額所得者が、海外投資や外国為替証拠金取引(以下「FX取引」といいます。)により得た収入の申告を行わないケースも把握されているため、様々な切り口により調査選定を行い、調査を充実させています。

 また、昨今の活発なFX取引を反映して、平成20年度の税制改正により、先物取引に関する調書に係る整備が行われ、平成21年1月1日以後に店頭で取引される金融商品先物取引の差金決済についても、取引所取引と同様に支払調書の提出が義務付けられました。
 提出された支払調書は申告内容の確認等に利用し、必要に応じて適正課税のために活用することとなります。

ロ 消費税の不正還付申告に対する取組

 消費税は、主要な税目の一つであり、預り金的性格を有するため、国民の関心が極めて高く、一層の適正な執行が求められています。
 特に、消費税について虚偽の申告により不正に還付金を得るケースも見受けられるため、還付の原因となる事実関係について十分な審査を行うとともに、還付原因が不明な場合には、調査等により接触し、不正還付防止に努めています。

ハ 審理の充実

 税務行政に対する信頼を確保するために、課税がきちんとした事実認定の下、適切な法令解釈あるいは法令の適用がなされていることが重要です。

  このため、あらゆる事案において、常に、納税者の主張を正確に把握し、的確な事実認定に基づいて十分に法令面の検討を行った上で、適正な課税処理を行うよう努めています。

 その際、確実に法令要件が満たされているかなどを確認するための手続・手順の遵守を徹底しています。

(2) 以下 (省略)

国税庁レポート2009年度版 より

 

powered by Quick Homepage Maker 4.81
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional